リリエフォルス《カケス》をどう見る?枝・鳥・ぼけた森

リリエフォルス《カケス》の全図。斜めの枝に一羽、奥に飛び立つ一羽が見える スウェーデン絵画

一羽は枝にとまり、くちばしを開いています。もう一羽は、その奥で翼を広げています。ブリューノ・リリエフォルスの《カケス》は、鳥の種類を細かく覚えなくても、二羽の位置と背景の描き分けから動きを追える作品です。

この記事では、作者の気持ちや鳥の物語を決めつけません。Nationalmuseumの公式記録と、画面で確かめられる形を分けながら見ていきます。

まず作品プロフィールを確認

リリエフォルス《カケス》の全図。斜めの枝に一羽、奥に飛び立つ一羽が見える

項目 内容
作品名 《カケス》/Jays/Nötskrikor
作者 ブリューノ・リリエフォルス(1860–1939)
制作年 1886年(署名年)
技法 油彩・カンヴァス
寸法 51 × 66 × 3 cm(画面)
所蔵 Nationalmuseum、所蔵番号 NM 6811

Nationalmuseumは、この場面を「一羽が仲間を追って飛び立つ直前の、止まった一瞬」と説明しています。警告音や飛翔は公式解説にありますが、何を見ているのか、次に何が起きるのかまでは決められていません。

1. まず斜めの枝をたどる

枝とカケスの位置関係が見える別画像

最初に鳥の顔を見ると、くちばしの表情へ視線が集まります。そこで一度、画面の端から伸びる枝へ目を移してみます。

枝は、画面を均等に二つへ分けるのではなく、手前から奥へ斜めに入ります。主役の鳥も中央に置かれていません。このずれが、整った記念写真とは違う「途中の一場面」を作っています。

太い枝を端から先へたどり、そこから手前の鳥へ戻る。これだけで、鳥だけを切り抜いて見るより、画面全体の方向がつかみやすくなります。

2. 二羽の「時間差」を読む

手前の鳥と奥で翼を広げる鳥が見える高精細画像

手前の一羽は枝に足を置き、奥の一羽は翼を広げています。二羽が同じ姿勢ではないため、画面には小さな時間差が生まれます。

「左の鳥が先、右の鳥が後」と物語を決めなくても大丈夫です。足、翼、くちばしの順に比べると、止まる動作と飛ぶ動作が同じ画面へ重ねられていることが分かります。

ここで大切なのは、鳥の感情を当てることではありません。二羽の体の向きが違うという、誰でも画像で確かめられる事実から始めることです。

3. ぼけた森は描き残しではない

額を含む展示用画像。画面の大きさと横長の比率が分かる

手前の鳥と枝に比べて、奥の森は輪郭がやわらかく、細部が省かれています。Nationalmuseumの解説も、前景へ焦点を合わせた自然写真のように、背景が拡散的でスケッチ風だと説明しています。

これは「背景を描き切れなかった」と判断するための材料ではありません。はっきりした前景と、ぼけた背景を並べることで、手前と奥の距離が見えやすくなっています。

画面を近くで見たあと、少し離れて見直すと、細部の差が奥行きへ変わる感覚を試せます。

4. 日本版画の影響は「配置」で見る

全図をもう一度見て、鳥が中央から外れていることを確認する

Nationalmuseumは、この非対称の構図に日本版画からの影響があると説明しています。ここでいう影響は、「日本らしい模様が描かれている」という意味ではありません。

見るポイントは、主役を中央から外すこと、画面の端から枝を入れること、奥行きを均等に描かないことです。日本版画の大胆な画面の使い方を参考にしながら、リリエフォルス自身の写実的な鳥の描写と組み合わせています。

3分で試す鑑賞ワーク

  1. 1分目は、斜めの枝だけを端から端まで目でたどる。
  2. 2分目は、二羽の足・翼・くちばしを一つずつ比べる。
  3. 3分目は、前景のはっきりした部分と背景のぼけた部分の境目を探す。

鑑賞の答えを急ぐ必要はありません。まず「枝が斜め」「二羽の姿勢が違う」「背景の輪郭がやわらかい」と、画面で確認できる三つを言葉にすると、見方の土台ができます。作品を見る順番をもう少し練習したい方は、名画の見方ガイドもどうぞ。Vellumのトップページとスウェーデン絵画カテゴリから関連作品を探せます。

参考文献・出典

画像クレジット: Bruno Liljefors, Jays (Nötskrikor), 1886, Nationalmuseum, NM 6811. Photo: Nationalmuseum / Cecilia Heisser, Public Domain.

スウェーデン絵画

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